Claude

Claude活用で創薬を加速、Anthropicの難病研究と課題

Claude活用で創薬を加速、Anthropicの難病研究と課題のアイキャッチ画像

Anthropicが自社の創薬活動を開始

Anthropicは、小児の希少な筋ジストロフィーを対象とする創薬活動を社内で進めている。同社は、創業者1人で運営されていた米Mithril Medicineを買収し、その研究を引き継いだ。

Mithril Medicineでは、AI「Claude」を研究そのものだけでなく、外部研究機関との契約、物流、実験の段取りなどにも利用していた。外部11機関と連携し、対象疾患の1つでは、治療法の着想からモデルマウスで有望な結果を得るまでを18カ月未満で進めたという。

研究対象と治療法の仕組み

LAMA2関連先天性筋ジストロフィー

主な対象は、筋線維と周囲の膜をつなぐタンパク質の欠損によって起こる「LAMA2関連先天性筋ジストロフィー」だ。記事によると、根本的な治療法はまだない。

研究チームは、2つの標的へ同時に結合する「二重特異性抗体」を利用する。筋肉に残る別のタンパク質と筋線維を橋渡しし、膜を固定し直すことを狙う。同じ仕組みは、もう1つの対象である「α-ジストログリカノパチー」にも応用できる可能性があるとしている。

モデルマウスでの予備試験

小規模な予備試験では、試作した2種類の抗体のうち1種類を6週間投与したモデルマウスで、前脚の筋力と握力が対照群の約2倍になったという。これは予備試験の結果であり、人への有効性を示す臨床試験の結果ではない。

Claudeが担った具体的な作業

候補抗体を絞り込む工程では、Claudeが次の作業を支援した。

  • 113種類の候補抗体をCRO5社で評価する計画の策定
  • 341ページの製造データの読み込み
  • 全候補を「そのまま試験」「再精製後に試験」「見送り」の3区分へ分類
  • CROなどへ送るメールの下書き

分類作業は8分未満で完了したとされる。Claudeと担当者は、113種類の候補抗体に関する試験計画を1週間でまとめた。外部宛てのメールは、担当者が修正してから送信していた。

人による確認でも防げなかった誤り

Claudeの出力には誤りもあった。抗体の量を相手の希望より少なく記載した依頼など、少なくとも3件が担当者の確認を通過し、CROへ送られた。

技術報告書では、人は試験対象や試験方法といった判断上の誤りには気付きやすい一方、数量や前提条件などの細部を見落としやすいと分析している。記事から確認できる事実として、AI生成文を人が確認する工程だけでは、細かな数値ミスを完全には防げていない。

今後の計画

創業者のコーディ・トランバーガー氏はAnthropicへ移籍し、研究を継続している。複数の新しい創薬プログラムも立ち上げる計画だ。候補薬が今後の試験でも有望な結果を維持した場合、早ければ2028年後半に人を対象とする臨床試験を始める見込みとしている。

Anthropicは研究者向けAI作業環境「Claude Science」の発表時に、従来の製薬・バイオ企業が開発対象として魅力を感じてこなかった疾患について、前臨床段階の研究へ取り組む方針を示していた。

要点

  • ツール:AI「Claude」
  • 用途:製造データの読解、候補抗体の分類、試験計画、メール作成、契約・物流・実験調整
  • 成果:候補113種類の評価計画を人とAIで1週間以内に作成
  • 課題:人の確認後も、数量などの細かな誤りが外部へ送られた

出典

ITmedia NEWS「Anthropic、独自の“創薬活動”に着手」