AI業務効率化

京都府庁7000人の生成AI活用、Copilot依存を避けた設計

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京都府庁が生成AIを導入した背景

京都府庁は、人口減少に伴う将来の人手不足を見据え、7000人を超える職員の業務効率化に取り組んでいる。特に負荷が高かったのは、会計事務や文書事務が庁内ルールに沿っているかを、共通マニュアルの「手引き」で確認する作業だった。

職員が必要な記述を見つけられない場合、制度所管課への問い合わせが必要になる。問い合わせを受ける側もメールや電話への対応に追われ、本来の業務へ集中しにくい状況にあった。

Copilot Chatだけに一本化しなかった理由

京都府庁は2025年1月、対話型生成AIのCopilot Chatを全庁へ導入した。文章作成や企画のアイデア出しには活用できた一方、当時はRAGによって大量の庁内資料を参照する用途に課題があったという。

そこで2025年4月、RAG機能を備えたユーザーローカル ChatAIも全庁に導入した。単一の製品に集約せず、用途に応じて次のように使い分けている。

  • Copilot Chat:文章の作成、企画のアイデア出し
  • ユーザーローカル ChatAI:手引きなどの庁内マニュアル検索と、根拠資料に基づく質疑応答

運用基盤にはクラウドサービスを選んだ。オンプレミスで独自構築した場合の更新・保守負担や費用対効果を考慮し、AI技術の進化を取り込みやすい形を採用したとしている。

全庁展開前にPoCで効果を確認

本格導入の前には、一部の職員による実証実験を実施した。イベントのあいさつ文、プレス発表資料の作成、手引きに関する質疑応答などを試し、業務時間の削減効果と使い勝手を検証した。利用職員から高い評価を得たことが、全庁導入の判断材料になった。

Copilot StudioでAIエージェントを試作

京都府庁はチャットツールに加え、請求書の受け付け審査や補助金申請書類の一次チェックなど、一定の手順に沿う業務を支援するAIエージェントの開発にも着手した。

開発には、プログラミングの専門知識がなくても構築できるローコードツールのCopilot Studioを採用した。外部委託に進む前に職員が小規模な試作を行い、自動化できる範囲や限界を確認している。AIエージェントの完全な内製化自体が目的ではなく、費用対効果が不透明な段階で大きな外部投資を避ける狙いだった。

処理を3つの子エージェントへ分割

試作では、複数の処理を一度に実行させると回答精度が低下し、エラーも発生しやすいことが分かった。そのため、処理を次の3つの子エージェントへ分割した。

  1. ルールを読み取る
  2. 書類をチェックする
  3. 結果を整理する

各子エージェントの結果を親エージェントが取りまとめる構成に変更したところ、処理が安定したという。複雑な業務を機能単位に分けたことが、同庁の開発上の工夫である。

AIの出力は一次案、最終判断は職員

AIエージェントの出力は、そのまま採用されない。例えば請求書の審査支援では、記載漏れや日付・金額の誤りを点検し、結果を一覧で提示する。職員は一覧表だけでなく、根拠資料と原本も確認した上で最終判断を下す。

京都府庁は、細かな不備の発見をAIが補助し、判断の責任を人が担う役割分担を基本としている。

利用率と削減効果

庁内調査では、Copilot Chatの利用率は71%、ChatAIは45%だった。満足度はそれぞれ95%と93%で、継続利用を希望する職員はいずれも99%に達した。

週1日以上利用する職員1人当たりの年間業務削減時間は、Copilot Chatで109時間、ChatAIで74.4時間と見込まれている。また、調査に回答した制度所管課のChatAI利用者のうち、84%が制度所管課への問い合わせが減ったと評価した。

現状と今後の方向性

チャットツールは日常業務へ広がっている一方、AIエージェントは検証段階にある。京都府庁は今後、各部署の意見を踏まえ、需要の高い審査業務などへの活用拡大を検討している。

同庁が掲げる目的は、定型作業を減らして生まれた時間を、府民との対話やサービスの企画、現場での判断といった人が担う業務へ振り向けることだ。職員への一律な利用強制ではなく、AIを使えていない理由を把握し、適切に支援する姿勢も重視している。

出典

キーマンズネット「京都府庁、職員7000人の事務効率化で『Copilotだけに頼らない』と決めた理由」