チームみらいの安野貴博党首と高山聡史議員は、AIの進化によって高度なサイバー攻撃能力が広く利用可能になりつつあるとして、デジタル庁へ緊急提言を提出した。提言は、AIを利用した防御力の強化から情報漏えい後の被害者支援まで、7つの柱で構成されている。
提言の背景
提言では、公表済みのサイバーインシデントは実態の一部にすぎないと指摘。今後は、電力や水道などのライフライン停止を伴う大規模被害も想定すべきだとしている。
作成に当たっては、情報漏えいの被害当事者、不安を抱える人、セキュリティ専門家、事業者へのインタビューを実施したという。
緊急提言の7項目
1.AIと専門人材による国の防御力強化
国の防御力を高める手段として、次の施策が挙げられた。
- 高性能なフロンティアモデルへのアクセス権を確保する
- オープンウェイトモデルを利用できる環境を提供する
- 国産サイバーセキュリティモデルの開発を支援する
- 公的機関のセキュリティ人材を増強する
2.攻撃実態の調査と教訓の共有
AISIなどを通じて、AIが持つサイバー攻撃能力の評価や実態調査を進める案が示された。あわせて、「サイバー版事故調査委員会」の設置や注意喚起の一元化も提案している。
3.大規模攻撃に対する緊急対応の制度化
大規模なサイバー事案を法体系上で明確に位置付け、重大事案では国が事業者に措置を求められる仕組みを設ける。また、企業の事業継続計画であるBCPの策定と訓練を支援する。
4.提供事業者の責任と導入時審査
ソフトウェア、クラウド、AIの提供事業者に対し、安全設計や脆弱性対応を政府調達の要件として求める。重要システムでは、導入前審査に加え、構成部品、委託先、アクセス権限を記録するルールの整備も盛り込んだ。
5.継続的な脆弱性対策の支援
企業が弱点を発見し、修正を続けられる制度として、次の支援策が提示された。
- 中小企業向けに無償の脆弱性診断機会を提供する
- AIによる脆弱性の発見・修正に利用できる補助トークンを提供する
- セキュリティへ投資する企業を税制面で優遇する
6.個人情報の保有を抑える仕組み
マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)を本人確認の標準とし、必要な事実だけを相手へ伝える属性限定開示の実装を進める。個人情報を必要以上に保有しないことで、漏えい時の被害を抑える狙いがある。
7.漏えい後の相談と二次被害防止
消費者ホットライン「188」の体制を強化し、AIを利用した相談窓口を充実させる。さらに、全ての信用情報機関へ一括で登録できる、無償の信用凍結制度を創設する案も示された。
提言におけるAIの位置付け
記事で示された事実を整理すると、AIは攻撃能力を高める要因である一方、防御側では攻撃能力の評価、脆弱性の発見・修正、被害者向け相談に利用する技術として位置付けられている。



