LLMによる個別型フィッシングを大規模検証
ベルリン工科大学などの研究チームは、LLMでターゲットごとに文面を変えるスピアフィッシングの有効性を検証した。実験対象は大学職員7741人で、ネット上に情報が見つかった4010人のうち、3310人に個人向けメールを送信した。
使用したツールと処理の流れ
- 検索エンジン:メールアドレスを検索し、公開Webページから経歴や所属などを抽出する。
- 複数のAIモデル:収集した公開情報を基に、対象者のプロファイルを作成する。
- LLM:対象者ごとに適した差出人とメール本文を自動生成する。
元記事では、個別のAIモデル名や具体的なプロンプトは示されていない。
クリック率は一般的な文面の約2.7倍
- 全員に同じ文面を送る一般的なフィッシングメール:クリック率3.9%
- LLMが生成した個人向けメール:クリック率10%
- 専門家が手作業で作成した個人向けメール:クリック率24.2%
論文によると、LLMによる手法のクリック率は従来手法の2.74倍だった。一方で、専門家による手作業のメールには届かなかった。
自動生成の時間と費用
LLMによる約4000通の専用メール作成には約50時間を要し、1通当たりの費用は約0.03ドルだった。研究結果は、手作業より低いクリック率でも、個別文面を一定規模で自動生成できることを示している。
公開情報量とフィルターの検証結果
公開情報が多い対象者ほどだまされにくく、情報量が少ない層と中程度の層ほどだまされやすい傾向が確認された。また、大学の迷惑メールフィルターでは、3949通のうち不審と判定されたメールは1通だけだった。
結果を読む際のポイント
確認された事実:対象となった大学職員への実験では、LLM生成の個人向けメールが一般的な同一文面より高いクリック率を記録した。
解釈上の注意:この結果だけで、異なる組織や利用者層でも同じクリック率になるとは判断できない。これは記事に示された実験条件を踏まえた解釈である。



