エイチ・アイ・エス(HIS)は、法人出張(BTM)事業の見積もり業務に、UiPath Platformを用いたAIエージェントとロボットを導入した。顧客から届く依頼メールの読み取りから、見積もり作成、システム登録までを自動化し、2026年7月時点で月約100時間の業務削減につなげた。
導入の背景
HISの法人出張事業では、需要回復に対して限られた人員で対応する必要があった。出張の見積もりは、予約、発券、変更、精算などを含む6工程で構成され、最初の見積もり工程だけでも月約20時間を要していた。
依頼内容は顧客や担当者ごとに異なり、希望条件に合う航空券を提示するまで複数回のやりとりが発生する場合もあった。業務品質がコンサルタントの習熟度に左右される点も課題だった。
利用したツールと役割
UiPath Platform
HISはUiPath Platform上で、AIエージェントとロボットを組み合わせた。各ツールの役割は次の通り。
- AIエージェント:顧客から届いた電子メールを読み取り、見積もりを作成する
- ロボット:AIが処理した内容を後続作業やシステム登録につなげる
導入の参考になったのは、英国の航空会社ブリティッシュ・エアウェイズが、コールセンター業務の改善にUiPathのAIとロボットを利用した事例だった。
従来型AIから方針を転換
HISは2023年ごろから、グループ内の知見を使って依頼メールを読み取る仕組みを検証していた。しかし、メールが非定型であることなどから、従来型AIでは必要な精度に達しなかった。
2025年ごろにUiPathの事例を知り、見積もり業務を自動化できる可能性があると判断。UiPathの採用へ方針を切り替えた。
フェーズ1は単純な見積もりに限定
初期段階では6工程全体を対象にせず、最初の見積もり工程に絞った。さらに、出発地と目的地がそれぞれ1カ所の「単純出張」を対象とした。複数地点を巡る複雑な案件は難易度が高く、コンサルタントの専門知識が必要になるためだ。
メール送信は自動化の対象外とし、送信直前までをシステムが担当する設計とした。精度向上のため、約半年にわたり試行錯誤を重ねたという。
導入効果
2026年4月ごろに運用を開始し、同年7月には対象メール約1000通のうち約400通について、AIの処理結果を人が修正せず送付できる状態になった。
- 月約100時間の業務時間を削減
- 約400通を人手による修正なしで送付可能
- 関東地区の全顧客へ利用範囲を拡大
フェーズ1では月300時間以上の削減を目標としており、対象案件を増やすことで達成可能とHISは見込んでいる。
今後の計画
HISはフェーズ2で、単純出張以外の見積もりに対応し、見積もり後の予約、発券、精算などへ自動化範囲を広げる計画だ。フェーズ3では、顧客プロフィール、企業の購買ルール、コンサルタントの属人的なスキルを組み合わせ、AIが適切に回答できる仕組みを目指すとしている。
事実と今後の見通し:月約100時間の削減と約400通の無修正送付は記事で示された実績である。一方、月300時間以上の削減や複雑な見積もりへの対応は、今後の目標・計画であり、達成済みの効果ではない。



